山津見神社遥拝所(宮城県柴田郡柴田町槻木下町1丁目1-60)
山津見神社は福島県相馬郡飯舘村にある神社で、大山津見神(大山祇命)を祭神とし、白狼を眷属(従者)としています。狼は火難、盗難、害獣を除く力があるとされ、東北地方においても広く信仰されていました。
こちらにあるのは飯舘村の山津見神社の遥拝所です。山津見神社の分霊社は宮城県に数か所存在しますが、遥拝所という形はここ以外にはないとのこと。この遥拝所では狼の図像が入った御札などを配っていたそうです。
オオカミ信仰と聞くと、月夜に変身のようなオカルトを想像してゾクゾクしますね、不謹慎ですが。それはともかく、狼には人を畏怖させ、同時に惹きつけるものがあるのは確かだと思います。
正確にはここは山津見神社遥拝所の跡地です。遥拝所は1989年に解体されており、今は鳥居と小さな社が残されています。
遥拝所の中に保存されていた絵馬、御札、大麻、版木、幣束などの資料は、柴田町の施設である「しばたの郷土館」に寄贈され常設展示されています。
遥拝所は明治38年(1905)には存在していたと推定されるそうです。
社の隣に遥拝所の創設者で所長だった國井久仙の碑が残されています。國井久仙の経歴は不明な部分が多いですが、出羽三山参詣の先達であったようだということです。
(以上、石黒伸一朗「福島県飯舘村山津見神社の狼が描かれた天井画」「柴田町の山津見神社槻木遥拝所」、『仙台郷土研究』39巻、40巻所収を参照)
EOS R, EF24-105mm F4L IS USM